第12回研修レポート

2008/11/30-2008/12/7

IIPD国際予防歯科研究所 う蝕予防海外研修

歯科衛生士
北山 広子

参加者レポートIIPD研修を終えて

今回、IIPD研修に参加するのは、3年ぶり3回目でした。3年前の同じ冬の研修の時は、氷点下の世界で、湖は凍り、空気も凍り、空気がキラキラしていましたが、今回同じ時期にもかかわらず、氷点下になることはなく、雨という天候でした。ここフィンランドでも温暖化が進んでいるようでした。そのような中行われたIIPD研修ですが、今回もまた、期待以上の講義の内容でした。

IIPD研修に参加したことがない方からは、3回も参加して、同じ内容をまた聞きに行くのではないの?とよく問われますが、それがIIPD研修のすばらしいところで、毎回毎回、新たな学びができるので、リピーターになってしまうのです。それは、他の研修と違っているところで、この研修の魅力でもあると思います。

実際に講義を受け、改めて、予防の重要性を痛感しました。又、今回は、講義のほかに大学の実習風景、保健センター、保育園、一般家庭、歯科診療所と見学先がバラエティに富んでいて、色々な角度から歯科という分野を見ることができ、日本との違いを強く感じ、どのような形でどのような診療をしたらよいか、できるのか、より深く考えさせられました。
この研修中、多くの先生方とお話をする機会があり、話を重ねていくにつれ、私にも何かできるかもしれないという自信がつきました。
オバマ大統領のように、「We can change」と叫びたい!?気持ちでいっぱいになりました。

  • 口腔の発育と不正咬合予防、おしゃぶりの功罪についての講義をされたユハ・バレラ先生との一枚。
  • トゥルク大学歯学部ランチルームで、サラ・カリヤライネン先生と一緒に。

2008/11/30-2008/12/7

IIPD国際予防歯科研究所 う蝕予防海外研修

歯科衛生士
澤 真由美

参加者レポートIIPD研修を終えて

現在、私はデンタルスタッフ協会の講師として沢山の歯科衛生士の方とお会いしています。その中で、皆が共通して思っていることは「患者さんにお話ししていることへの確信がほしい」ということです。実際、予防システム、知識、技術に疑問を抱きながら、臨床を行っているのが現状です。

たくさんの歯科衛生士が「予防の本来の意味、歯科衛生士の本当の喜び」をこころから感じてほしい。この経験が現在講師としての自分を誕生させました。

今回、フィンランド型う蝕予防を第一人者の先生方にご教授いただき、今後多くの方に伝えていく私の自信にもつながりました。この研修を通して、う蝕予防は患者さん個人の健康獲得という利益のもとに、私たち歯科医療従事者に結果報酬と喜びという形で還元されるものであると実感しました。

あの時の自分と同じように悩んでいるデンタルスタッフに対し、「これでいいんだ」と納得して行える予防を、13年間の経験と今回学んだ予防のエビデンスを確信もって伝えていきたいと思います。
最後になりましたが羽村理事長はじめ、理事の先生方には終始ご指導、あたたかいお言葉を頂いたことを感謝申し上げます。

  • トゥルク市保健センター歯科衛生士と今研修参加の衛生士との1枚(右下は羽村章理事長です)。フィンランドでは歯科衛生士も個室を持っています。
  • 憧れのカウコ・マキネン先生と。

2008/11/30-2008/12/7

IIPD国際予防歯科研究所 う蝕予防海外研修

歯科衛生士
佐々木 莉菜

参加者レポートIIPD研修を終えて

今回の研修に参加して、まず驚かされたのは保育園を視察した時でした。それは、日本では11年前に代替甘味料としてキシリトールが認可されたのに対して、フィンランドではキシリトールによるう蝕抑制効果が認識され、10年以上前から保育園でキシリトールを食後に摂取する習慣ができていることでした。

一般家庭においても当たり前の習慣として食後のキシリトール摂取が行われていました。国民みんなが歯を守る為にキシリトールを必要として食べていることがわかりました。日本では、本当の意味でのキシリトールのう蝕抑制効果を知っているのは歯科関係者等のなかでも限られた人のみなので、一般の人はごくわずかしか知りません。

また訪問したパブリック・ヘルス・センターでは18才までの歯科の定期健診や治療が無料で、矯正治療までも無料で行われているという日本との違いにも驚きました。
定期健診に行く度に教育されることによって歯を大切にすることへの意識も高められているようでした。

フィンランド人の1日の平均の歯磨きの回数は一回以下、それでも世界有数のう蝕予防国であるのはこういった背景があるからだと感じることができました。

日本ではまだキシリトールの良さ、定期健診の大切さが十分には浸透していないので、フィンランドで得たこれらの情報を一人でも多くの人に広め、歯を健康に保つことに関心を高めてもらえるようにすることが今回研修を受けた私の役目だと思います。

  • 研修修了後のパーティーで、カウコ・マキネン先生(左)、サラ・カリヤライネン先生(右)から修了証を授与されました。
  • チビサンタさんとのツーショット。

2008/11/30-2008/12/7

IIPD国際予防歯科研究所 う蝕予防海外研修

研修歯科医師
倉治 真夏

参加者レポートIIPD研修に参加して

第101回歯科医師国家試験に合格した私は、日本フィンランドむし歯予防研究会理事長である羽村章先生が病院長を務める日本歯科大学で臨床研修をしています。1年間の臨床研修を終えたのちの進路に思い悩む時期でもあり、予防はすべての歯科分野に通ずることから、IIPD研修に参加することを決めました。

フィンランドの首都ヘルシンキから、バスで一時間ほどの郊外にある一般家庭を訪問させていただいたときのことです。やんちゃでちょっぴりシャイな長男・嶺乃(れいの)くん(7歳)と、お母さまであるテーリカンガス里佳さんが雪の中、にこやかに出迎えてくださいました。ご一家は両親と二人のお子さんの四人家族です。里佳さんは、フィンランドは福祉と教育が充実していること、みなキシリトールを当たり前のように使っていることなどを話してくださり、フィンランドではむし歯予防が生活の一部になっていることを実感しました。嶺乃くんは、小学校の歯科健診で歯並びについて指摘され矯正治療が始まったそうですが、治療費が全くの無料と聞いて、保健センターでの説明は本当だったのだ、と深く感動しました。

余談になりますが、里佳さんが私たちのために作ってくださった手作りカステラは、これまで食べた中で一番美味しいカステラでした。

研修中は休む間もないほど充実した研修プログラムにより大忙しでしたが、カウコ・マキネン先生をはじめ多くの先生方からう蝕予防の考え方を学ぶことができました。
今後、歯科医として研鑽する中で生かしていければと思っています。

  • ヘルシンキ郊外の一般家庭を訪問。右からテーリカンガス里佳さんと嶺乃くん、ベル先生こと鈴木彰先生、左はJFSCP会長の小池匠先生。
    フィンランドにおける日常生活の一端を見せていただいた貴重な経験でした。
  • 母と一緒に。