研究調査
研究会会員により、日本国内でのキシリトールに関する調査・研究も進められ、臨床現場での応用への道が開けています。
災害時のお口の手入れ法について
このたびの東北関東大震災の被災者の皆様、福島原子力発電所の事故により避難生活をされている皆様に心よりお見舞い申し上げます。
日本フィンランドむし歯予防研究会は、不便な避難生活をされている方々や救援活動に従事されている医療・福祉関係者の皆様へ、正確で有益な情報をお知らせして参ります。
1.災害時のお口の手入れ (248KB)
2.災害時のお口の手入れ 子ども版 (236KB)
東京都品川区保健所荏原保健センター
保健事業係 歯科衛生士 島袋裕子さん作成
3.規模災害時における歯科保健医療の健康危機管理体制の構築に関する研究
平成19〜21年度 厚生労働科学研究
代表研究者 中久木康一
(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・顎顔面外科学)
4.大規模災害時の口腔ケアに関する報告集
制作者より本ページ掲載の承認を得ております。
プラーク湿重量と酸産生能に対する
キシリトールの影響について
東京都済生会中央病院歯科 土肥 順尚
今回、私がこの研究を行うには、一つのきっかけがありました。それは、私が大学の小児歯科に在籍していた当時、キシリトールガムが一般に認知されてきたある日のことです。隣のユニットで診療が終了し説明を受けていた母親が担当医に、「キシリトールガムというのは効き目があるのですか?」と質問したのです。すると、その担当医は「あれは北欧の話でしょ。」と答えたのです。その答えにあっけにとられてしまったのを今でも忘れられません。このようなことがきっかけで日本国内の研究に至ったわけです。
今回の研究では、幼稚園児(乳歯列期)において、キシリトールを1日約4.5g定期的に摂取して頂きました。すると1ヶ月後よりプラークの湿重量が減少し、さらに3ヶ月後より酸産生能の低下が認められました。
幼稚園におけるキシリトール研究『キシリトールって本当に効果があるの?』
北海道小樽市開業 上浦 庸司
1999年のIIPD研修に参加し、マキネン教授からキシリトール研究の背景や効果についてお聞きし大変感銘を受けました。一方、それまでキシリトールに関して勉強不足であったため、『臨床的に本当にう蝕抑制効果があるのか?』『効果があったとしてもフッ素に比較すると費用がかかるので患者さんへ勧めにくいのでは?』といった問題点が浮かんできました。そこでロッテ中央研究所滝口俊男室長にお願いし(図々しいですが・・・)ガムを提供していただき小樽市の幼稚園で研究を開始しました(図1)。
3年間の研究結果をグラフに示します(図2)。1日5粒食べることにより約60%のう蝕抑制効果が認められました。研究に協力してくれた歯科衛生士もキシリトールの効果を実感できたようでサリバテストの結果からカリエスリスクが高い患者さんへ自信を持って勧めてくれています。
キシリトールガム導入幼稚園の6年間の結果から
埼玉県秩父市開業 今井 美行
私が園医を務める幼稚園では1997年のキシリトールガム発売時より、昼食後に“キシリトールガムを噛む”を行い、う蝕予防の直接的な効果が上がっています。さらに、キシリトール導入による間接効果(意識の変化)も確実に上がっているようです。2002年12月に歯の健康アンケートを行った結果「家でもキシリトールガムを噛んでいる」「フッ素入りの歯磨き粉を使用している」が80%近くになっていることがわかりました。驚いたことに「歯科医院での定期健診やフッ素塗布を受けている」も50%に達していました。
現在、年長児のカリエスフリーは26%です。より良い成果を得るために、今年1月より園月報誌に新しく“歯科のページ”を開設させていただきました。多くの子供たちの素敵なスマイルが私の願いです。